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■封入ガスと熱損失
一般の電球には高温になるフィラメント
の蒸発を抑えるために、ガラス球内に不活
性ガス(アルゴンと窒素の混合)が封入さ
れています。この不活性ガスにより電球は
長寿命を保てるのですが、同時に不活性ガ
スは、ガス自体の熱伝導や対流によりフィ
ラメントの熱を奪う働き(熱損失)もして
しまいます。このため熱を奪われにくくす
るために、一般にはフィラメントを二重コ
イルにする方法が採られます。
また、アルゴンガスに比べて熱を伝えに
くく、熱損失を抑えられるクリプトンガス
を封入した電球もあります。熱損失の減少
により、高効率・長寿命を実現しています。
さらに、ガラス球に伝わる熱が低くなり温
度上昇を抑えられるので、電球の小形化も
可能になります。(例:ミニクリプトン)
窒素
アルゴン
クリプトン
原 子 量
熱
損
失
大
大
小
小
封入ガスと熱損失の関係
電球の特長・構造
電球の発光原理
白熱電球技術解説
導入線
ヒューズ
①フィラメント
アンカー
③口 金
②ガラス球
電球の中には導入線によって、フィラメ
ントが固定されています。このフィラメン
トは高温に強いタングステンという金属で
作 ら れ 、 電 流 を 流 す と 電 気 抵 抗 に よ り
2000∼3000℃の高温になり、白熱化
して暖かみのある白色光を発します。
電
気
の
流
れ
タングステンフィラメント
光
光
タングステンに電流が流れると高温になり
光を発する。
電球の構造図
■白熱電球の特長
特別な点灯回路を必要とせず、手軽に照明効果が得られます。なお、最近では小形で効率の高いミニクリプトンの需要が高まってい
ます。
・暖かみのある白色光で演色性に優れた光源です。
・豊富な品種があり様々な用途にご使用できます。
・調光が自由にでき変化に富んだ照明が可能です。
■白熱電球の構造
電球は実際に光を発する①フィラメント、
それを保護する②ガラス球、そして③口金
から成り立っています。ガラス球の中は真
空のものや不活性ガスを封入したものがあ
り、高温になるフィラメントの燃焼(酸化)
や蒸発を防いでいます。小形・軽量で集
光・散光も簡単にできる電球は、使われて
いる範囲も広く、用途により様々な形状
のものがあります。