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流量の増加とともに圧力が増加する右上り特性部のある点で、静かに運転していた送風機が、急に管路の圧力と流れに激しい振動と変動を起こし、運転が危
険になることがあります。これをサージングといい、この現象は圧力が高く動力が大きいほど激しく、場合によっては羽根車や軸受の事故にもつながります。

図34は、サージングがどうして起こるかを示します。送風機圧力曲線上のC
点が、サージングの起こりはじめの点(サージング点)で、ECの間がサー
ジングを起こす範囲となります。EDは逆流性能で、送風機の羽根車が正回
転していても、空気が吐出口から吸込口の方向に逆流する場合の性能曲線を
示しています。今C点が作動点となり、運転中に何かの原因で抵抗が減少す
ると、流量は少なくてすみますが、C点から急にD点までとび移ります。こ
れは、送風機の吐出圧が低下するために起こる流量の減少率よりも、抵抗の
減少による流量の減少率のほうが小さくなるためです。D点にとび移ると、
減少しすぎてしまいますのでD→E→B→Cと移動して元のC点に戻りますが、
再びD→E→B→Cと作動点が変動して、不安定な状態が繰り返されます。

ECの間は、流量の増加とともに圧力も増加しますので、ばね振子にたとえれば、ばね振子の抵抗と運動とが同じ方向に働くことと考えられ、不安定領域とな
ります。CAの間は流量の増加とともに圧力は減少しますので、ECの間とは反対に安定領域です。

1台の送風機では風圧が不足する時、送風機を直列運転して風圧を増大させ
ることがありますが、この時の総合特性は、流量一定の線で切った場合の風
圧の和として得られます。図35に示すように一方の送風機Ⅱの容量が他の
送風機Ⅰよりも小さい場合には、風量の大きい所で小さい送風機Ⅱに逆流が
起きます。図35において、管路抵抗がR

2

の場合総合作動点はAで、送風機Ⅰ

はD、ⅡはEで作動し同一管路抵抗に対し単独運転した時の風圧BおよびCよ
り小さくなります。
また管路抵抗がR

1

の時には、総合作動点はGで、送風機ⅠはJで作動し、送

風機Ⅱはかえって抵抗となり逆流を起こすことになります。したがって、単
独運転した時の送風機Ⅰの作動点Hよりかえって風圧は減少します。直列運
転の場合は、2台の送風機の風量は同一でなければなりません。また、実際
に直列運転を行なう場合、2台の送風機が接近して配置されますと、初めの
送風機吐出口の乱入が、第2の送風機入口の流入状態に悪影響を及ぼすこと
がありますのでご注意ください。

●サージング

図34

図35

●直列運転

圧 力

Pa

圧 力

Pa

風 量m

3

/min

風 量m

3

/min

参考資料

送風機の性能