A-20
3. 軸受荷重の計算
NTN
3.軸受荷重の計算
軸受荷重を算定するためには,軸受が支持している軸系
に作用している荷重を決定する必要がある。軸系に作用する
荷重には,回転体の自重,機械が仕事をするために生じる荷
重及び動力伝達による荷重などがあり,これらは理論的に数
値計算できるものもあるが,計算が困難な場合も多い。
軸受の主要な用途である動力伝達軸について,作用する
荷重の計算方法を示す。
3.1 軸系に作用する荷重
3.1.1 荷重係数
実際に軸受が使用されている機械では,振動・衝撃など
により,理論的に計算された軸荷重より通常は大きくなる。
したがって,表3.1に示す荷重係数を乗じて軸系に作用する
実際の荷重を求めることが多い。軸系に作用する荷重は式
(3.1)で求められる。
K
=f
w
・K
c
………………………………………………(3.1)
ここで,
K
:軸系に作用する実際の荷重 N(
kgf
)
K
c
:理論的な計算値 N(
kgf
)
f
w
:荷重係数(表3.1)
図3.1 平歯車に作用する荷重
K
s
K
t
図3.2 はすば歯車に作用する荷重
K
t
K
a
K
s
図3.3 歯車のラジアル合成力
K
t
K
r
K
s
D
p
表3.1 荷重係数 f
w
使 用 箇 所
衝撃の種類
強い衝撃の
ある場合
軽い衝撃の
ある場合
ほとんど衝撃
のない場合
電機機械,工作機械,計器類
鉄道車両,自動車,圧延機,金属機械,
製紙機械,ゴム機械,印刷機械,
航空機,繊維機械,電装品,事務機械
粉砕機,農業機械,建設機械,物揚機械
1.0∼1.2
1.2∼1.5
1.5∼3.0
f
w
3.1.2 歯車に作用する荷重
歯車に作用する荷重は,接線方向(K
t
),ラジアル方向
(K
s
)及びアキシアル方向荷重(K
a
)に分解できる。その大
きさ及び方向は歯車の種類によって異なる。ここでは,一般
に用いられる平行軸歯車及び交差軸歯車について,その計算
方法を示す。
(1)平行軸歯車に作用する荷重
平行軸に用いられる平歯車及びはすば歯車(ヘリカルギ
ヤ)にかかる荷重を図3.1∼図3.3に示す。その大きさは式
(3.2)∼式(3.5)により求めることができる。
19.1×10
6
・H
1.95×10
6
・H
K
t
=――――――――――
(
―――――――――
)
…………(3.2)
D
p
・n
,
D
p
・n
K
s
=K
t
・tanα(平歯車)……………………………(3.3a)
tanα
=K
t
・ ―――――(はすば歯車)……………………(3.3b)
cosβ
K
r
=
√ ̄ ̄ ̄ ̄
K
t
2
+K
s
2
…………………………………………(3.4)
K
a
=K
t
・tanβ(はすば歯車) ………………………(3.5)
ここで,
K
t
:歯車の接線方向荷重(接線力)N(
kgf
)
K
s
:歯車のラジアル方向荷重(分離力)N(
kgf
)