Clutch & Brake
A-4
パウダクラッチ・ブレーキ
■ 特長
三菱パウダクラッチ・ブレーキはトルクの伝達にパウダ(磁性鉄粉)を使用するもので流体クラッチのなめらかさ、摩擦板式クラッチの
連結時の高能率などの長所を兼ね備えています。
我国でのパウダクラッチ・ブレーキのパイオニアである当社は豊富なアプリケーションと実績により多くのノウハウを蓄積してご要望に
お応えしています。
数多くの特長を生かし、紙、糸、電線、各種シート、テープ類などの長尺物の巻取り・巻出し用アクチュエータとして張力制御に欠かせ
ないものとなっています。そのほか、緩衝起動用、動力吸収用あるいは過負荷安全装置(トルクリミッタ)などにも適しています。
1. 広範囲の制御が容易
励磁電流の変化に対応して伝達トルクが連続的に変化しま
すので、伝達トルクは広範囲にわたって簡単に制御できます。
2. 連続スリップ運転が可能
パウダを使用することにより、動作面は連続スリップが可能
であり、またスリップ回転速度に関係なく常に安定した伝達
トルクが得られます。
ただし、許容連続スリップ工率内にて使用する必要があります。
3. 安定したトルクが得られる
動作面形状、パウダもれ防止構造等により常にパウダは正
常に動くため、電流のON/OFFを繰返しても安定したトルク
が再現できます。
4. 熱容量が大きい
耐熱性にすぐれたパウダを使用し理想的な冷却構造をして
おりますので過酷な連続スリップ運転でも使用できます。
5. スムーズな連結・駆動が可能
静摩擦係数と動摩擦係数はほぼ等しいため、完全連結時の
ショックもなく、負荷に応じた加減速度が得られます。
■ 基本構造と動作
パウダクラッチの基本構造を右図に示します。ドライブメンバ(入
力側)とドリブンメンバ(出力側)を同心円筒上にパウダギャップ
を隔てて配置し、両メンバは自由に回転できるようにベアリングで
ささえられています。
このパウダギャップに透磁率の高いパウダ(磁性鉄粉)を入れ、
それに磁束を流すよう外周に励磁用コイルが配置されています。
無励磁でドライブメンバが回転していれば、パウダは遠心力により
ドライブメンバ動作面に押し付けられ、ドライブメンバとドリブン
メンバとは連結していません。
コイルを励磁すると、発生した磁束に沿ってパウダが鎖状に連結
しますが、このときのパウダ間の連結力およびパウダと動作面と
の摩擦力によりトルクが伝達されます。
したがって、パウダを媒体とした摩擦クラッチともいうことができ
ます。
なお、ドリブンメンバ(出力側)を固定した製品がパウダブレーキ
となります。
ZKB-XN形パウダブレーキ断面図
遮断時
励磁コイルに電流を流さないときは、クラッチは解放状態となり、
トルクは伝達されません。このとき、パウダは遠心力によりパウダ
キャップの外周部に押し付けられています。
連結時
コイルが励磁されると、磁束によりパウダがパウダギャップ内
に鎖状に連結されてトルクを伝達します。
磁束