1
1
セ
ラ
ミ
ッ
ク
軸
受
と
特
殊
鋼
軸
受
6
セラミックス(窒化けい素)は高炭素クロム軸受鋼に比べ剛
性が高い材料なので、転がり軸受の材料に用いた場合軌道輪と
転動体の接触面に生じる接触応力が高くなります。そのため転
がり軸受理論を応用できるかどうかが重要な要件になります。
1)セラミック軸受の転がり疲れ寿命
セラミック軸受と一般軸受の転がり疲れ寿命試験の一例を図
1-6に示します。
セラミック軸受は一般軸受と同等以上の寿命があり、計算値
以上の寿命が確認できます。
また寿命に至ったセラミック軸受には、いずれもはく離(フ
レーキング)現象が見られました(図1-5)。これは、一般軸受
にみられる転がり疲れ寿命と同じ形態です。
これらのことから、セラミック軸受の動定格荷重は同一寸法
の一般軸受の基本動定格荷重を採用してよいといえます。
JTEKTではセラミック軸受の寿命試験、静荷重をかけたとき
のセラミック材料の荷重限度、高炭素クロム軸受鋼の弾性変形
量の評価などから、セラミック軸受の動定格荷重と静定格荷重
を表1-4のように定めています。
■
セラミック軸受の定格荷重と寿命
セラミック玉
セラミック内輪
図1-5 セラミックスに生じたフレーキング
図1-6 総セラミック軸受と一般軸受の転がり疲れ寿命
●
表1-4 セラミック軸受の定格荷重
総セラミック軸受
組合せ
セラミック軸受
動定格荷重
C
r
一般軸受と同じ
一般軸受と同じ
静定格荷重
C
0r
一般軸受と同じ
一般軸受の85%
一般軸受とは、軌道輪と転動体の材料に高炭素クロム軸受鋼を用いた軸受を
いいます。
総セラミック軸受
NC6206
一般軸受
6206
5
1
2
4
6
8 10
20
10
30
50
70
計算寿命比
(実際寿命/計算寿命)
累
積
破
損
確
率
%
●
転がり疲れ試験条件
呼び番号
材料(外輪・内輪・玉)
寸法,mm
NC6206
窒化けい素(Si
3
N
4
)
30
×62×16
(内径×外径×幅)
6206
軸受鋼(SUJ2)
項 目
条 件
温 度
70
±2 ℃
荷 重
5 800 N
回転速度
8 000 min
−1
潤 滑 油
エアロシェルタービンオイル 500
基本動定格荷重
JISによれば一般軸受の転がり疲れに対する強さ、すなわち
負荷能力を表わす基本動定格荷重とは、内輪を回転させ外輪を
静止させた(または、内輪を静止させ外輪を回転させた)条件
で、100万回転の基本定格寿命が得られるような、大きさと方
向が一定の純ラジアル荷重(ラジアル軸受の場合)をいいます。
基本静定格荷重
軸受に許容される静荷重は基本静定格荷重として次のように
定められています。
基本静定格荷重とは、最大荷重を受けている転動体と軌道との
接触部中央において、次に示す計算接触応力に対応する静荷重
をいいます。
自動調心玉軸受:4 600 MPa
その他の玉軸受:4 200 MPa
こ ろ 軸 受:4 000 MPa